ジョイマンのラップは、一度耳にすると頭から離れない不思議な中毒性を持っています。高木晋哉さんの独特なステップと、予測不能な言葉の組み合わせが生み出すシュールな笑いは、今や幅広い世代に愛されています。SNSの再ブレイクもあり、その「韻の踏み方」を詳しく知りたいという方が急増しています。
本記事では、ジョイマンのラップの仕組みを初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。単なる言葉遊びにとどまらない、音の響きやリズムの取り方のコツを深掘りしていきましょう。この記事を読み終える頃には、あなたも自分だけのオリジナルラップが作れるようになっているかもしれません。
ジョイマンのネタの根幹にあるのは、徹底した「音遊び」の精神です。彼らのラップはヒップホップの要素を取り入れつつも、お笑いとして成立させるために独自の進化を遂げてきました。まずは、その土台となる韻の踏み方のルールから見ていきましょう。
ジョイマンのラップの最大の特徴は、フレーズの末尾の音を合わせる「脚韻(きゃくいん)」という技法を多用している点にあります。日本語の韻踏みにおいて最も重要なのは、言葉を「あ・い・う・え・お」の母音に分解して考えることです。
例えば、有名なフレーズである「ありがとう」という言葉で韻を踏む場合を考えてみましょう。「ありがとう(a-i-ga-to-u)」の母音構成は「a・i・a・o・u」となります。これに対して、ジョイマンは「オリゴ糖(o-i-go-to-u)」という言葉をぶつけます。
厳密には全ての母音が一致しているわけではありませんが、語尾の「い・お・う」の響きが共通しているため、聞いた瞬間に心地よい「韻」として認識されるのです。このように、言葉の意味を無視して「音の重なり」だけを追求するのがジョイマン流の極意です。
母音分解の例
・ありがとう(a-i-ga-to-u)
・オリゴ糖(o-i-go-to-u)
・後半の音が重なることで、心地よいリズムが生まれます。
ジョイマンのラップは、音楽的なリズム感に非常に忠実です。基本的には4拍子のリズムに乗せて言葉を発しており、これが視聴者の「ノリやすさ」に直結しています。高木さんのステップも、この4拍子のリズムを視覚的に表現する役割を果たしています。
ネタの冒頭でおなじみの「ナナナナ〜、ナナナナ〜」というフレーズは、リズムを整えるための準備運動のようなものです。ここで一定のテンポを観客に提示することで、その後に続く韻を踏んだフレーズがより際立つよう計算されています。
また、言葉の文字数(音数)も重要です。一見バラバラに見えますが、拍子の中にうまく収まるように音節を調整しています。文字数が少し足りないときは、語尾を伸ばしたり独特の間を置いたりすることで、心地よいリズムを維持しているのです。
ジョイマンのラップが「シュール」と言われる理由は、選ばれる単語に全く脈絡がないからです。通常のラップであれば歌詞にストーリー性を持たせますが、高木さんの場合は「音の響きが似ているかどうか」だけで次の言葉を選んでいます。
「いきなり出てきてごめん、まことにスイマンメン」というフレーズも、謝罪の言葉に対して意味不明な造語をぶつけることで、脳に心地よい違和感を与えています。この「意味のなさ」こそが、思考を停止させて笑いを誘うポイントです。
単語選びのコツは、なるべく日常会話では使わないような固有名詞や、インパクトの強い名詞を持ってくることです。意外性が高ければ高いほど、韻がハマった時のカタルシスが大きくなり、笑いの増幅へとつながっていきます。
ジョイマンの魅力は耳で聞くラップだけではありません。全身を使ったパフォーマンスがあってこそ、あの唯一無二の世界観が完成します。ここでは、視覚的な要素がどのようにラップを引き立てているのかを分析します。
高木さんが披露する「ジョイマンステップ」は、左右に軽快に跳ねる独特の動きです。この動きは単なるダンスではなく、ラップのリズムを強調するためのメトロノームのような役割を果たしています。視覚的にリズムを刻むことで、観客は自然とラップの世界に引き込まれます。
また、ステップの際の「脱力感」も重要です。一生懸命に踊るのではなく、どこか肩の力が抜けたような、ふわふわとした動きがラップのゆるい雰囲気と見事にマッチしています。この「必死さのなさ」が、ジョイマン特有の癒やし効果を生んでいるとも言えるでしょう。
さらに、ステップの合間に見せる高いジャンプや、腕を大きく広げるポーズは、フレーズの切れ目を明確にする合図になっています。これにより、視聴者はどこで韻が踏まれたのかを直感的に理解できるようになっています。
ジョイマンのネタにおいて、相方の池谷和志さんのツッコミは欠かせない要素です。高木さんがどれだけ完璧な韻を踏んでも、それだけではただの「ラップがうまい人」で終わってしまいます。そこに池谷さんのシンプルなツッコミが入ることで、初めて「お笑い」として完成します。
池谷さんの役割は、観客の心の声を代弁することです。「なんだこいつ〜!」という一言は、意味不明なラップを繰り返す高木さんに対する正当な反応であり、これが安心感を生みます。ボケの異常性を際立たせるための、最も重要なスパイスなのです。
また、池谷さんのツッコミが入る「間」も計算されています。高木さんのラップが一定のリズムを刻み続け、観客の耳が慣れてきた瞬間にツッコミが入ることで、リズムが心地よく遮断されます。この緩急が、飽きさせない構成の鍵となっています。
ツッコミの重要ポイント
・高木の「非日常」を池谷の「日常」が引き戻す構造です。
・シンプルな言葉だからこそ、ラップの音の面白さが邪魔されません。
ジョイマンのネタ全体を流れるテンポは、決して速くはありません。しかし、一度ラップが始まると、流れるような疾走感を感じることがあります。これは、高木さんの発声が非常にクリアで、滑舌良く言葉が紡がれているためです。
ボソボソと喋るのではなく、ハッキリと母音を意識して発音することで、韻の響きがダイレクトに脳に届きます。この「聞き取りやすさ」が、脱力系でありながらもスピード感を感じさせる秘密です。このバランス感覚は、長年の舞台経験で培われたプロの技と言えます。
また、一連のラップが終わった後に見せる「決めポーズ」も効果的です。動から静への切り替えをハッキリさせることで、一つのフレーズが終わったという区切りを観客に示します。このテンポの制御こそが、中毒性を生む真の要因です。
ジョイマンの韻の踏み方を理解したら、次は実践です。自分でジョイマン風のラップを作るためのステップを順を追って解説します。ポイントさえ押さえれば、誰でも簡単に「ジョイマンっぽさ」を出すことができます。
まずは、ラップの「上の句」となるベースの言葉を決めましょう。挨拶や日常的な短いフレーズが適しています。言葉が決まったら、それを母音(a・i・u・e・o)に置き換えて書き出してみてください。これが韻を探すための設計図になります。
例えば「おはよう」という言葉なら、母音は「o・a・yo・u」となります。最後の「う(u)」の音を意識するだけでも、かなりジョイマンらしい響きに近づきます。まずは2文字か3文字程度の短い言葉から練習するのが上達の近道です。
母音を抜き出す作業に慣れてくると、街中の看板やテレビから流れる言葉がすべて母音に見えてくるようになります。この「母音耳」を作ることが、ジョイマン流ラップマスターへの第一歩と言えるでしょう。
次に、抜き出した母音に合う「下の句」を探します。ここでの最大のコツは、「意味を繋げようとしないこと」です。むしろ、ベースの言葉から最も遠いジャンルの単語を選んだ方が、ジョイマンらしいシュールさが出ます。
例えば「おはよう」に対して、食べ物の名前や、歴史上の人物、珍しい動植物の名前などを当てはめてみましょう。「おはよう、マハトマ・ガンジー」といったように、日常からかけ離れたワードが飛び出すことで笑いが発生します。
語彙力を増やすためには、図鑑や辞書をパラパラと眺めてみるのもおすすめです。普段使わない言葉であればあるほど、高木さんのような「不条理な面白さ」を演出することができます。
ジョイマン風ワードの探し方ヒント
・カタカナの固有名詞(人名、地名、商品名)は相性が良いです。
・漢字ばかりの難しい四字熟語をラップに乗せると、ギャップが生まれます。
言葉が揃ったら、最後はパフォーマンスです。ジョイマンのラップには欠かせない「Here we go(ヒウィゴー)」や「カモン」という掛け声を入れて、自分を鼓舞しましょう。ラップの内容がどれだけ意味不明でも、自信満々に言い切ることが大切です。
また、語尾の処理にも気を配りましょう。ジョイマン高木さんは、フレーズの最後を少し投げ出すような、あるいは強調するような独特の発声をします。これを真似るだけで、一気にクオリティが跳ね上がります。
最後に、あの左右のステップを加えれば完璧です。リズムに合わせて体を動かしながら言葉を発することで、脳が活性化し、新しい韻が次々と浮かんでくるようになります。恥ずかしさを捨てて、リズムの波に乗ることが成功の秘訣です。
ジョイマンがこれまでに生み出してきた数々のフレーズ。その中から、特に秀逸な韻の組み合わせを厳選してご紹介します。これらの例を見ることで、彼らがどのように言葉を選んでいるかの感覚が掴めるはずです。
ジョイマンの最も基本的かつ有名な韻は、日常の挨拶から始まります。誰もが知っている言葉からスタートするため、観客が内容を理解しやすく、その後の「落差」がより強調される仕組みになっています。
| 上の句 | 下の句 | ポイント |
|---|---|---|
| ありがとう | オリゴ糖 | 母音の重なりが完璧で、最も有名なフレーズです。 |
| いきなり出てきてごめん | まことにスイマンメン | 「ごめん」と「メン」を合わせつつ、造語でボケています。 |
| お久しぶり | ロバート・デ・ニーロ | 「り」と「ろ」で母音「o」の響きを繋いでいます。 |
これらのフレーズの面白さは、誰もが予想できる「まっとうな返答」を裏切り、全く別の方向にハンドルを切る点にあります。挨拶という丁寧な形式をラップで壊していく爽快感が、人気の秘密かもしれません。
中堅芸人としてのキャリアを積む中で、高木さんの韻はより複雑で高度なものへと進化しています。最近では、実在する芸能人の名前や、特定のキャラクターを引用したネタも増えており、その知識量の多さに驚かされることもあります。
例えば、「彼女(ka-no-jo)」というお題に対して「あき竹城(a-ki-ta-ke-jo)」と返したり、「初体験(ha-tsu-ta-i-ke-n)」に対して「平井堅(hi-ra-i-ke-n)」と返したりするパターンです。これらは文字数も母音も綺麗に揃っており、非常に完成度の高い韻となっています。
固有名詞を使うことで、観客の頭の中に特定のイメージが浮かびます。そのイメージと、ラップの脱力感とのミスマッチが、視覚的な想像力を刺激して笑いを倍増させるのです。
近年、ジョイマン高木さんのTwitter(現X)での投稿が大きな話題となりました。かつての大ブレイクから一転、仕事がゼロになった時期の自虐ネタや、世の中の出来事に鋭く(しかし脱力気味に)切り込むラップが再評価されています。
例えば、有名人の結婚発表があった際に投稿されたお祝いラップなど、時事ネタを取り入れた韻は非常にキレがあります。「幸せ(shi-a-wa-se)」に対して「芽が生え(me-ga-ha-e)」など、少しひねった言葉選びが見られるのも特徴です。
また、「0人ライブ」の自虐ネタなど、自身の不遇な状況すらもラップのリズムに乗せて笑いに変える姿勢は、多くのファンの心を打ちました。ただのギャグとしてだけでなく、一つの「生き様」としてラップが機能している点も、現在の人気の理由でしょう。
さて、ここまで読んでくださったあなたなら、ジョイマンのラップがいかに緻密に、かつ自由奔放に作られているかが分かったはずです。最後に、日常の中でジョイマン風ラップをさらに楽しむためのアドバイスをお伝えします。
自分で韻を考えようとすると、ついつい「正解」を探してしまいがちです。しかし、ジョイマンのラップにおいて最も大切なのは「言い切る勇気」です。多少母音がズレていても、勢いよくラップに乗せてしまえば、それは立派な芸になります。
完璧な韻を目指して悩むよりも、まずは思いついた言葉を口に出してみましょう。「ちょっと似てるかな?」くらいの感覚で十分です。その緩さこそが、ジョイマン風の味になります。言葉のドッジボールを楽しむような感覚で、どんどん言葉を投げ込んでみてください。
もし自分で韻が思いつかない時は、友人や家族にお題を出してもらうのも良いでしょう。予想外のお題に対して、即座に(あるいは数秒考えてから)ヘンテコな韻を返す遊びは、飲み会やイベントでも盛り上がること間違いなしです。
ラップは言葉だけの芸術ではありません。特にジョイマンの場合は、あの「揺れ」が重要です。恥ずかしがらずに、少し膝を曲げてリズムを刻みながら喋ってみてください。不思議なことに、体を動かしている時の方が、面白い言葉が浮かびやすくなります。
また、声のトーンも意識してみましょう。高木さんのように、少し高めの声で「カモン!」と叫ぶことで、脳がスイッチを切り替えてくれます。自分をジョイマンになりきらせる「コスプレ効果」を借りて、クリエイティブな思考を引き出しましょう。
家族や友人の前で披露する時は、あえて真面目な顔をして行うのがポイントです。真剣に意味不明なことを言っているという構図が、周囲の笑いを誘います。パフォーマンスとしての完成度を高めることで、単なる真似事を超えた楽しさが見つかるはずです。
楽しむための心構え
・失敗しても気にしない!それすらも「なんだこいつ〜」で笑いに変えましょう。
・リズムに身を任せることが、一番のコツです。
ジョイマン高木さんの名言(?)に「ここにいるよ」という言葉があります。これは、人気が落ちて「消えた」と言われた時期に、それでも元気に活動していることをアピールするために使われ始めた言葉です。このポジティブな精神は、ラップ作りにも通じます。
韻が全くハマらなかったり、誰も笑ってくれなかったりすることもあるでしょう。しかし、そこで落ち込む必要はありません。失敗しても「ここにいるよ」という不屈の精神で、次のラップに挑戦し続けること。その姿勢こそが、ジョイマンイズムの真髄です。
お笑いは、楽しんだもん勝ちです。ジョイマンのラップというツールを使って、日常の些細な出来事を笑いに変えてみてください。言葉の面白さに気づくことで、あなたの世界が少しだけ、軽やかで楽しいものに変わるかもしれません。
ジョイマンのラップは、シンプルな母音の組み合わせと、計算されたリズム、そして何より高木さんの唯一無二のキャラクターが合わさってできています。一見すると意味のない言葉の羅列に見えますが、そこには「音」を純粋に楽しむという、言葉遊びの原点があります。
今回ご紹介した「母音を合わせるコツ」や「4拍子のリズム感」、そして「意外な単語選び」を意識すれば、あなたもジョイマン流のラップを自由に操れるようになるはずです。意味のない言葉に情熱を注ぐ、そのシュールで奥深い世界を存分に堪能してください。
お笑いの解説サイト「芸人ディープ図鑑」として、今後もこうした芸人の「技」に注目していきます。ジョイマンのラップをマスターして、ぜひ日常の中に笑いを取り入れてみてください。それでは、ヒウィゴー、カモン!