.png)
お笑いコンビ「見取り図」のボケ担当として活躍するリリーさん。その端正なルックスと独特のボケで人気を博していますが、実は芸人界でも屈指の「絵の達人」であることをご存じでしょうか。単なる趣味の域を超え、美術の教員免許を所持するほどの確かな実力を持っています。
リリーさんが描くイラストやデザインは、プロ顔負けのセンスと技術が詰まっており、多くのファンや業界人を驚かせています。では、あのような繊細で力強い作品はどのような道具を使って生み出されているのでしょうか。また、その高い画力の背景にはどのような歩みがあったのでしょうか。
この記事では、見取り図リリーさんが愛用する絵の道具から、その驚くべき経歴、作品の特徴までを「芸人ディープ図鑑」ならではの視点で詳しく解説します。リリーさんのアートの世界に深く潜り込んで、その才能の秘密を探っていきましょう。
リリーさんの描くイラストは、繊細な線と絶妙な色の配置が特徴です。最近ではデジタル環境での制作が中心となっており、スピード感とクオリティを両立させています。ここでは、彼が実際に使用している道具や、そのこだわりについて深掘りしていきます。
リリーさんがデジタルイラストを制作する上で欠かせないメインツールが、iPad Proです。大画面かつ高精細なディスプレイを誇る12.9インチモデルを愛用しており、細かい描き込みにも対応できる環境を整えています。デジタルでありながら、紙に描くような直感的な操作が可能な点が魅力です。
そして、その相棒となるのがApple Pencilです。筆圧や傾きを感知するこのペンを使うことで、リリーさんは鉛筆のような繊細なハッチング(細い線を重ねて陰影をつける技法)から、油彩のような厚塗りの表現まで自由自在に描き分けています。デジタルならではの「やり直しができる」利点を活かし、納得がいくまで線を追求しているのです。
リリーさんの場合、単に最新機器を使っているだけでなく、道具の特性を完全に理解し、自分の手の一部のように使いこなしている点が「ガチ」と言われる所以です。移動中の新幹線や楽屋裏でも、このセットさえあればすぐに「アトリエ」へと変貌させることができます。
リリーさんのデジタル環境まとめ
・メイン機材:iPad Pro(12.9インチモデル)
・入力デバイス:Apple Pencil(第2世代)
・制作スタイル:機動力を活かした「どこでもアトリエ」スタイル
デジタル制作において、リリーさんがメインで使用しているソフトウェア(アプリ)はProcreate(プロクリエイト)だと考えられます。これはiPadユーザーのイラストレーターに世界中で愛されている定番アプリで、シンプルながらも強力なブラシエンジンを搭載しているのが特徴です。
リリーさんの作品を見ると、キャラクターの輪郭線と色彩が非常に美しく整理されていますが、これはデジタル特有の「レイヤー機能」を駆使している証拠です。線画、色塗り、影、ハイライトをそれぞれ別の層に分けることで、全体のバランスを崩さずに細部をブラッシュアップしていく高度な技法を用いています。
特に、彼が得意とするポートレート(人物画)では、肌の質感や髪の毛の毛流れを表現するために、数千種類もあるブラシの中から最適なものを選び抜いています。デジタルの便利さに甘えるのではなく、アナログで培った「筆圧のコントロール」をデジタル上で再現しているのがリリー流のこだわりです。
デジタルツールを使いこなす一方で、リリーさんの絵の基礎は間違いなく「アナログ」にあります。美術大学や専門的な教育機関で学んできた彼は、鉛筆、デッサン、油彩といった伝統的な画材の扱いにも精通しています。実は、デジタル作品に見られる線の「迷いのなさ」は、やり直しのきかないアナログでの訓練から生まれています。
リリーさんのイラストが単なる「デジ絵」に見えず、どこか温かみや生命力を感じるのは、アナログ特有の「かすれ」や「にじみ」の感覚を指先が覚えているからです。スケッチブックにペン一本でサラサラと描き上げる即興似顔絵でも、その実力の高さは一目瞭然です。
道具がデジタルに変わっても、芯にあるのは「デッサン力」という普遍的な技術です。彼はよく、道具はあくまで表現の手段であり、大切なのは観察眼であることを作品を通じて証明しています。基礎がしっかりしているからこそ、どんな道具を持たせても一流の作品を生み出せるのです。
リリーさんの活動でファンに馴染み深いのが、バラエティ番組やYouTubeなどで披露される「即興似顔絵」です。ここではiPadではなく、あえてスケッチブックと太めのサインペンというシンプルな道具が使われることも多いです。一発描きというプレッシャーの中で、瞬時に相手の特徴を捉える能力は圧巻です。
この時に使用されるペンは、線に強弱をつけやすいマーカーや、速乾性のあるミリペンなどが選ばれます。リリーさんの似顔絵は、単に「似ている」だけでなく、その人の内面や面白さがにじみ出るような独特のデフォルメが施されています。これは、芸人としての観察眼と絵描きとしての構成力が融合した、彼にしかできない表現です。
シンプルな道具だけでこれだけのクオリティを出せるのは、彼が長年積み重ねてきた技術の結晶と言えるでしょう。豪華な道具に頼らずとも、ペン一本で周囲を笑顔にさせるその姿は、まさに「アート芸人」の真骨頂です。
補足:リリーさんの即興画のコツ
リリーさんは似顔絵を描く際、まず「目元」と「顔の輪郭」のバランスを最優先に捉えるそうです。全体のシルエットを先に把握することで、短い時間でも外さない似顔絵を完成させています。
リリーさんの画力は、単なる「趣味が上手な芸人」というレベルではありません。その裏側には、美術を専門的に学び、教育者としての資格まで取得したという、極めて本格的なバックボーンが存在します。ここでは、彼が歩んできたアートの道のりを紐解いていきます。
リリーさんは高校卒業後、大分県にある大分県立芸術文化短期大学の美術科に進学しました。この大学は芸術分野において非常に高い評価を得ている公立大学であり、リリーさんはここで本格的な美術教育を受けました。毎日朝から晩までデッサンや色彩構成、造形実習に明け暮れる日々を過ごしていたのです。
短大での学びは、彼にとって表現の幅を大きく広げる貴重な時間となりました。特に、静物画や人体デッサンなどを通じて培われた「形を正確に捉える力」は、現在のイラスト制作の強力な武器となっています。当時の同級生たちは現在、デザイナーや作家として活躍している人も多く、リリーさんもまた、その中の一人として頭角を現していました。
この時代に学んだ「構成」の概念は、現在の漫才のネタ作りや舞台構成にも通じるものがあるといいます。無駄を削ぎ落とし、最も伝えたい部分を強調するというデザインの思考が、リリーさんの芸風にも深みを与えているのかもしれません。
リリーさんのアートへの関わりは、実は高校時代にまで遡ります。彼は岡山県内の工業高校のデザイン科に通っており、そこですでにデザインの基礎を叩き込まれていました。一般的な高校生が教科書と向き合っている時間に、リリーさんは製図版やレタリング、色彩理論といった専門的な課題と向き合っていたのです。
工業デザインの世界では、美しさだけでなく「機能性」や「情報の伝わりやすさ」が重視されます。リリーさんが描くロゴデザインやタイポグラフィ(文字のデザイン)が非常に見やすく、洗練されているのは、この高校時代の基礎教育があったからこそです。
若いうちから「視覚的にどう見せるか」というプロの視点に触れていたことが、現在のリリーさんの独特なセンスを形作っています。工業的な緻密さと、芸人としての遊び心が同居しているのが、彼の作品の最大の特徴と言えるでしょう。
リリーさんの経歴の中で最も特筆すべきなのが、中学校・高等学校教諭一種免許状(美術)を所持しているという点です。これは、単に絵が上手いだけでなく、美術の歴史、理論、そして他者に教えるための教育学を修めた証です。実際に教育実習にも行っており、「リリー先生」として教壇に立った経験も持っています。
教員免許を取得するためには、実技試験だけでなく膨大な知識が求められる筆記試験や論文もパスしなければなりません。リリーさんのアートに対する知識が非常に深く、美術館巡りの連載などで専門的な解説ができるのは、このアカデミックな背景があるためです。
芸人仲間から「リリー先生」と茶化されつつも、その知識量には一目置かれています。彼の解説は、専門用語を使いつつも初心者にも分かりやすく噛み砕かれており、「美術の楽しさを伝えたい」という教員としてのマインドが今でも生き続けていることが分かります。
ヒント:リリーという芸名の由来
ちなみに「リリー」という芸名は、NSC(吉本の養成所)時代に、その風貌や雰囲気が俳優・作家のリリー・フランキーさんに似ていたことから同期に付けられたそうです。本家のリリー・フランキーさんもまた、イラストレーターとしての顔を持っており、不思議な縁を感じさせます。
短大卒業後、リリーさんは一度は一般企業への就職も考えたそうですが、最終的にお笑いの世界に飛び込みました。しかし、芸人として売れない下積み時代も、彼は筆を置くことはありませんでした。ライブのチラシ制作や、先輩芸人の似顔絵、さらには個人的な創作活動を継続し、自らのアイデンティティの一部として絵を持ち続けてきました。
お笑いの世界では、特技があることは大きな武器になりますが、リリーさんの場合はそれが「本業」を凌駕しかねないほどのレベルでした。それでも彼は「絵が上手い芸人」という枠に収まることなく、漫才師としての実力を磨きながら、同時にアートの活動も広げていきました。
現在、コンビとしてブレイクしたことで、ようやく彼の「アートへの情熱」が世間に広く認知されるようになりました。お笑いとアート、この二つの異なる表現方法をパラレルにこなすリリーさんの姿は、現代のマルチクリエイターとしての新しい芸人像を象徴しています。
なぜリリーさんの絵は、これほどまでに人々を惹きつけるのでしょうか。プロのクリエイターからも称賛されるその画力には、いくつかの際立った特徴があります。ここでは、彼の作品の魅力をテクニカルな面と感性の面から分析します。
リリーさんの作品の中で最も評価が高いのが、人物を描いたポートレートです。彼の描く似顔絵は、単に顔の造作をコピーするのではなく、その人が持つ「空気感」や「人間味」をキャンバスに定着させています。特に、芸人仲間を描いた作品では、その人の内面的な滑稽さや優しさまでが表現されています。
技術的には、解剖学的な理解に基づいた正確な骨格の捉え方がベースにあります。首のラインや肩の入り方など、プロが見ても違和感のない確かな造形力が土台となっているため、多少デフォルメをしてもリアリティが失われません。この「崩し」の塩梅が絶妙なのです。
また、瞳の描き込みにも強いこだわりが感じられます。生き生きとした表情を生み出すための光の入れ方や、まつげ一本一本の処理に至るまで、細部への執着が作品全体のクオリティを底上げしています。見ている側が「今にも動き出しそう」と感じるのは、こうした丁寧な仕事の結果です。
リリーさんのデザインセンスが光るのが、最小限の線で最大の効果を生む「引き算の美学」です。画面いっぱいに描き込むのではなく、効果的な余白(ポジティブスペースとネガティブスペースの関係)を作ることで、見る人の視線を誘導し、洗練された印象を与えます。
彼の描く線は、迷いがなく非常にスムーズです。これはデジタルツールを使っているからといって誰でもできることではなく、どこで線を止めるか、どこで抜くかという「美意識」が問われる作業です。リリーさんの線には、グラフィックデザインの基礎がしっかりと反映されています。
配色についても同様で、鮮やかすぎる色を多用せず、くすんだ色味やトーンを抑えた色を巧みに組み合わせることで、現代的でおしゃれな雰囲気を演出しています。この「芸人っぽくないスタイリッシュさ」が、感度の高いファン層を惹きつける要因の一つとなっています。
リリーさんは、自分たちの単独ライブのロゴやグッズのデザインだけでなく、他の芸人のプロジェクトにもロゴを提供しています。これらは単なるイラストではなく、「視覚的なシンボル」としての完成度が非常に高いのが特徴です。文字を抽象化したり、モチーフを組み合わせたりする手法はプロのデザイナーそのものです。
例えば、Tシャツなどのアパレルグッズにした際に「普段着として着られるかどうか」という視点をリリーさんは常に持っています。芸人グッズにありがちな「主張の強すぎるデザイン」を避け、あえてブランドロゴのようなさりげなさを取り入れることで、商品価値を高めています。
また、ロゴ制作においては、そのコンビや番組のコンセプトを深く聞き取り、それを視覚化するという「ディレクション能力」も発揮しています。描くだけでなく、「何を伝えるべきか」を整理する能力こそが、リリーさんがクリエイターとして信頼される大きな理由です。
リリーさんのデザインの特徴
・無駄を削ぎ落とした「ミニマルな構成」
・アパレルでも映える「ファッション性の高さ」
・コンセプトを外さない「的確な言語化と視覚化」
リリーさんの創作活動に多大な影響を与えているのが、とんねるずの木梨憲武さんです。リリーさんは公私ともに木梨さんを尊敬しており、彼の「自由な創作スタイル」を目標にしています。アートを堅苦しいものとして捉えるのではなく、遊び心を持って楽しむという姿勢は、まさに木梨イズムの継承です。
木梨さんのアートは、既存の枠にとらわれない大胆な手法や、身近なものをアートに変える発想力が魅力です。リリーさんもまた、自身の作品の中にそうした「遊び」を取り入れるようになりました。綺麗に描くだけでなく、あえて崩したり、意外な素材を組み合わせたりする挑戦的な姿勢が見て取れます。
この影響は、リリーさんの「芸人としての生き方」そのものにも反映されています。漫才もアートも、どちらも自分の内側を表現する手段として等しく大切にする。そんな境界線のない自由な表現者としてのスタイルは、憧れの木梨憲武さんから学んだ最大の宝物なのかもしれません。
リリーさんの才能は、単に絵を描くだけに留まらず、様々なメディアやイベントを通じて社会に還元されています。ここでは、彼が具体的にどのような活動を通じてアートを発信しているのかを紹介します。
リリーさんは、過去に自身の作品を集めた個展(アート展)を開催しています。そこでは、普段テレビやYouTubeで見せるクイックなイラストとは一線を画す、時間をかけて練り上げられた大作が並びます。キャンバスにアクリル絵の具で描かれた作品や、実験的な技法を用いたアートワークは、訪れる人々を圧倒します。
個展会場の設営や、作品の並べ方、空間の見せ方に至るまで、リリーさんはこだわりを持って取り組んでいます。単に作品を壁に掛けるだけでなく、その空間全体を一つの「体験」として演出する力は、美大出身者ならではのセンスです。ファンの間では「芸人の個展というレベルを超えている」と絶賛されました。
また、個展では作品の販売が行われることもあり、多くの作品が即座に完売するなど、市場価値の面でも高く評価されています。リリーさんのアートは、「有名人が描いたから」という理由だけでなく、作品そのものの魅力で選ばれているのです。
見取り図の公式グッズの多くは、リリーさんの監修や直接のデザインによって生まれています。特に人気が高いのが、彼のイラストをあしらったTシャツやトートバッグです。これらは発売されるたびに即完売するほどの人気を誇り、ライブ会場だけでなく街中でも着用しているファンを多く見かけます。
リリーさんのデザインするTシャツは、グラフィックとしての強さと、ファッションとしての馴染みやすさが共存しています。シルクスクリーンの特性を活かした配色や、洗濯しても劣化しにくい配置など、実用面まで考慮されたデザインは、工業高校時代の学びが生きている部分かもしれません。
また、他のアーティストやアパレルブランドとのコラボレーションプロジェクトに参加することもあり、芸人という枠を飛び越えた「デザイナー・リリー」としての評価も確立されています。自らの才能をビジネスやプロダクトに結びつけるプロデュース能力も、彼の大きな武器です。
補足:グッズへのこだわり
リリーさんはグッズを作る際、生地の厚さや形にも口を出すことがあるそうです。「自分が着たいと思えるか」という基準を徹底することで、ファンの満足度を高めています。
情報サイト「Lmaga.jp」での連載『リリー先生のアート展の見取り図』は、彼のアートへの造詣の深さを知ることができる貴重な場所です。この連載では、リリーさんが実際に各地のアート展に足を運び、そこで感じた魅力や見どころを「美術教員免許を持つ芸人」の視点で綴っています。
特筆すべきは、その解説の「深さ」と「分かりやすさ」です。美術史に基づいた客観的な視点と、リリーさん個人の主観的な感動がバランスよく混ざり合っており、これまでアートに興味がなかった層にも刺さる内容になっています。難しい専門用語を避けるのではなく、適切に補足しながら説明する姿勢に、教員としてのルーツを感じます。
例えば、草間彌生さんやピカソといった巨匠の作品に対しても、物怖じすることなく独自の切り口で語ります。この連載を通じて、リリーさんは「アートは誰にとっても開かれたものである」というメッセージを伝え続けており、アート文化の普及にも大きく貢献しています。
リリーさんのアートの才能は、吉本興業の芸人仲間からも厚い信頼を寄せられています。後輩芸人の単独ライブのポスターデザインを手がけたり、劇場の企画で壁画を描いたりと、その活動は多岐にわたります。相方の盛山さんも、リリーさんのセンスには絶大な信頼を置いており、コンビのビジュアル面はすべて任せているほどです。
舞台上で笑いを取るだけでなく、裏方としても「作る」ことができる強みは、見取り図というコンビのブランド力を高めています。また、YouTubeチャンネルの企画でも、絵を使った様々なコンテンツを展開し、視聴者に新しい笑いを提供しています。
リリーさんの存在は、若手芸人たちにとって「お笑い以外に武器を持つことの重要性」を示すロールモデルとなっています。単なる多才な人という以上に、「表現者としての深み」を持つことが芸の幅を広げるということを、彼は身をもって証明しているのです。
リリーさんにとって、絵を描くこととお笑いをすることは、切り離せない関係にあります。一見正反対に見えるこの二つの活動は、彼の内側でどのように共鳴しているのでしょうか。最後に、リリーさんの表現哲学について触れていきます。
リリーさんは、漫才のネタ作りにおいても、絵を描くことにおいても、最も大切にしているのは「オリジナリティ」だと言います。他の誰でもない、見取り図にしかできないボケ、リリーにしか描けない線。その独自性を追求するプロセスは、彼にとって全く同じ種類の作業です。
漫才では言葉と間で観客を裏切り、驚きを与えますが、アートにおいても配置や色彩で見る人の既成概念を揺さぶります。リリーさんの作品に見られる独特の「違和感」や「シュールさ」は、まさに漫才師としてのセンスが絵画として結実したものです。
彼は、「絵を描くことは、漫才で新しいボケを考えるのと似ている」と語ることがあります。どちらもゼロからイチを生み出す孤独でクリエイティブな行為であり、その苦しみと喜びこそが、リリーさんの原動力となっているのです。
多忙なスケジュールをこなすリリーさんにとって、iPadを開いて絵に没頭する時間は、最高のリフレッシュタイムでもあります。お笑いの仕事は常に「他者」との関わりや反応が求められますが、絵を描く時間は完全に「自分自身」と向き合うことができます。
このオンとオフの切り替えが、彼の精神的なバランスを保っています。楽屋の喧騒の中でも、イヤホンをしてiPadに向かえば、そこには彼だけの静かな世界が広がります。この「没入感」こそが、日々新しい笑いを生み出すためのエネルギーを蓄える儀式となっているのです。
また、描くことで得た新しい視覚的な刺激が、巡り巡ってお笑いの発想に活かされることもあります。例えば、面白い顔の構成を思いついたらそれをネタのキャラクターに反映させるなど、二つの才能が相互作用して相乗効果を生んでいるのがリリーさんの強みです。
リリーさんは、自身のルーツである岡山県出身の画家、国吉康雄さんを深くリスペクトしています。アメリカで活躍し、独自の哀愁漂う作風を確立した国吉さんの生き方や作品に、リリーさんは強いインスピレーションを受けてきました。
郷土の偉大な先人を敬うことで、リリーさん自身も「世界に通用する表現」への意識を常に持っています。芸人として全国区の人気者になっても、自分の芸術的な源流を忘れない謙虚さと探究心が、彼の作品を単なる流行り物に終わらせない重みを与えています。
国吉康雄さんのように、困難な状況でも自分のスタイルを貫き通す姿勢。リリーさんもまた、芸人としての顔とアーティストとしての顔をどちらも妥協なく突き詰めることで、新しい道を切り拓こうとしています。この高い志こそが、彼を「本物」たらしめているのです。
リリーさんは今後、さらにお笑いとアートの融合を加速させていくことでしょう。単なる「絵が上手い」という枠を超え、より大規模な公共アートへの参加や、デジタルアートの新しい可能性を模索することにも意欲的です。また、後進の育成や美術教育の分野での貢献も期待されています。
彼が目指しているのは、アートを敷居の高いものではなく、お笑いと同じくらい身近で楽しいものとして世に浸透させることです。「面白いから見る」「綺麗だから惹かれる」という素直な感情を大切にする彼の活動は、これからの時代の文化をより豊かなものにしてくれるはずです。
見取り図リリーという唯一無二の存在が、次にどのような「道具」を手に取り、どのような「笑い」と「アート」を見せてくれるのか。私たちは、その進化し続ける見取り図から目が離せません。
リリーさんの今後の可能性
・本格的なメタバース空間でのデジタル展覧会
・お笑いライブとライブペインティングの融合イベント
・次世代の子供たちに向けた美術ワークショップの開催
見取り図リリーさんの絵の才能は、本格的な学問的背景と、iPad ProやApple Pencilといった最新の道具、そして芸人としての深い観察眼が結実したものです。美術教員免許という「裏付け」を持ちながらも、遊び心を忘れない彼のスタイルは、多くの人に勇気と感動を与えています。
リリーさんが愛用する道具から見えてきたのは、決して高価なものを使えばいいというわけではなく、基礎となる「デッサン力」や「美意識」がいかに重要かということでした。アナログの経験をデジタルに活かし、さらにそこにお笑いのエッセンスを加えることで、彼は誰にも真似できない独自のジャンルを築き上げています。
これからも、リリーさんは素晴らしい作品を通じて、私たちにアートの新しい楽しみ方を提示し続けてくれるでしょう。彼の描く一本の線、そして放たれる一言のボケ。その両方に宿る「表現者・リリー」の魂を、これからも全力で追いかけていきたいですね。